BLIND FAITH
Blind Faith
Side A
01. Had To Cry Today
02. Can't Find My Way Home
03. Well All Right
04. Presence Of The Lord
Side B
05. Sea Of Joy
06. Do What You Like
Producer : Jimmy Miller
Musicians : Eric Clapton (g), Steve Winwood (vo,key,g,b), Rick Grech (b,vn), Ginger Baker (dr)
Recording : Feb.-Jun.1969 (Olympic Studio & Morgan Studio, London)
Release : Sep.1969 (Polydor 583 059 / UK)
BLIND FAITH (CD Edition)
Blind Faith
CD
01-06. Original Tracks
07. Exchange And Mart
08. Spending All My Days
Producer : Jimmy Miller
Musicians (Extra Tracks) : Rick Grech, Eric Clapton, George Harrison, Denny Laine, Trevor Burton, Steve Winwood?, Ginger Baker?
Recording (Extra Tracks) : Oct.1969 (Morgan Studio, London)
Release : Apr.1986 (RSO-Polydor 825 094-2 / Germany)
BLIND FAITH (Deluxe Edition)
Blind Faith
Disc 1
01. Had To Cry Today
02. Can't Find My Way Home
03. Well All Right
04. Presence Of The Lord
05. Sea Of Joy
06. Do What You Like
07. Sleeping In The Ground
08. Can't Find My Way Home [ Electric Version ]
09. Acoustic Jam
10. Time Winds
11. Sleeping In The Ground [ Slow Blues Version ]
Disc 1
01. Very Long And Good Jam
02. Slow Jam No.1
03. Change Of Address Jam
04. Slow Jam No.2
Producer : Jimmy Miller
Compilation Producer : Bill Levenson
Musicians : Eric Clapton (g), Steve Winwood (vo,key,g,b), Ginger Baker (dr), Rick Grech (b,vn), Guy Warner (perc)
Recording : Feb.- Jun.1969 (Olympic Studio & Morgan Studio, London)
Release : Jan.2001 (Polydor 549 529-2 / US)
LONDON HYDE PARK 1969
Blind Faith
DVD
01. Well All Right
02. Sea of Joy
03. Sleeping In The Ground
04. Under My Thumb
05. Can't Find My Way Home
06. Do What You Like
07. Presence Of The Lord
08. Means To An End
09. Had To Cry Today
10. I'm A Man (Spencer Davis Group)
11. Hole In My Shoe (Traffic)
12. I'm So Glad (Cream)
Producer : Jimmy Miller
Musicians : Eric Clapton (g), Steve Winwood (vo,key,g), Ginger Baker (dr,perc), Rick Grech (b,vn)
Recording : Jun.1969 (Hyde Park, London)
Release : 2005 (Sanctuary SVEF0090 / UK)
ブラインド・フェイス
ブラインド・フェイスはトラフィックのスティーヴ・ウィンウッド、クリームのエリック・クラプトンとジンジャー・ベイカー、そしてファミリーのリック・グレッチの4人によるユニット。スティーヴとクラプトンが活動を開始したのは69年の2月頃だが、バンド名が決定したのはグレッチが加入して4名になった5月頃とされている。それ以前にはすでにベイカーを加えた3人でレコーディングも行われていた。
ブラインド・フェイスは活動期間も短くアルバムもたったの1枚しか発表しなかったが、ロック界における初のスーパーグループとして有名だ。エリック・クラプトンは「メンバーにスティーヴがいるのなら、リーダーは彼で僕は従うだけ」という控えめな発言をしているが、アルバムの趣向はやはりスティーヴ・ウィンウッド色が濃く全6曲中半分がスティーヴ作、クラプトンとジンジャー・ベイカーがそれぞれ1曲で、残りの1曲はバディ・ホリーのカヴァーとなっている。クリームファンが期待するようなブルーズ色は薄く、どちらかというとポップセンスを散りばめたR&B色の濃い作品で、それはやはり当時のスティーヴの方向性が強調された結果だろう。リードヴォーカルも全曲スティーヴだ。
注目すべき点のひとつはスティーヴ・ウィンウッドが単独で曲を書いていることだろう。作詞をメインでやらないことには徹底しているが、ここでは共作者がいなかったのか詞も自分で書いているようだ。 "Can't Find My Way Home" と "Sea Of Joy" はスティーヴの作曲センスの光るなかなかの名曲で、前者はエリック・クラプトンのソロレパートリーにも取り上げられている。オリジナルアルバム未収録のエレクトリック・ヴァージョンも捨てがたいが、このアコースティック・ヴァージョンには素朴な味わいがあり、デリケートなヴォーカルの魅力が際立っている。またリック・グレッチのヴァイオリンを入れた "Sea Of Joy" では、若々しいハイトーンヴォイスを堪能できる。
エリック・クラプトン作でスピリチュアルソング風の "Presence Of The Lord" は、アルバム中で最もインパクトの強い作品かもしれない。スティーヴ・ウィンウッド作 "Had To Cry Today" とジンジャー・ベイカー作 "Do What You Like" はいずれも長尺なナンバー。前者はスティーヴのマイナー調ヴォーカルが魅力的なヘヴィーロック、後者はクリーム時代のベーカー作 "Toad" 風の作品で、後半では4人のソロ演奏を含んだジャムセッション的な展開をみせる。ベイカーは後の自分のプロジェクトであるエアフォースで再びこの曲を取り上げており、その際もスティーヴがヴォーカルをとった。バディ・ホリーのロックンロール "Well All Right" は、原曲に比べるとかなりパワフルにアレンジされていて、スティーヴの軽やかなピアノプレイも聴きどころだ。
ジャケットについて
アルバム "Blind Faith" のアメリカでの発売当初、ヌードの少女がペニスを連想させる飛行機型のオブジェを持つジャケットが猥褻であるとされ、すぐにメンバーの写真仕様のジャケットに変更された。この少女が誰かということや、手に持っていたものについての話題は尽きないのだが、ジャケットをデザインしたボブ・サイドマンによると、オブジェは「人類の創造力の功績とテクノロジーによるその表明であり、知識の木になる実」と説明、また女の子については「無垢だが女性へと成長しつつある少女、生命の木になる実」と解説している。この少女は当時ロンドンのメイフェアに住んでいて、サイドマンが地下鉄に乗っているときに出会った少女の妹だったという。
オブジェは王立芸術大学の精密機械技師ミック・ミリガンによって作られた。またエリック・クラプトンがバンド名に採用した "Blind Faith" という名称は、サイドマンがこのジャケット用写真に付けたタイトルで、レコード会社がこのジャケットデザインでのリリースに難色を示した際にサイドマンとの間でもめたようで、結局バンド名はジャケットから省かれることになったという。さらに別の見解によると、サイドマンはクラプトンの旧友で、ジャケットの少女はサイドマンの娘であるという。またオブジェについては、性的なシンボルであると同時に、音楽や生命への近代的・未来的な接近を象徴した飛行機の模型であるという。少女の名前はルイーズ (あるいはマレオーラ) ・ゴーシェン、年齢は当時11歳と言われている。
[ ドイツ盤3Dジャケット : ばっぴ様 ]
ツアー&シングルについて
ブラインド・フェイスのツアーは、英国、アメリカ、カナダ、スウェーデンの各地で行われた。69年6月22日の英国デビューとなったハイドパークのフリーコンサートには10万人以上の観衆が集まったといわれ、その模様は当初ロバート・スティッグウッドらによって映像化が試みられたようだが未発表に終わった。2005年にはコンサートを記録した映像として、DVD "London Hyde Park 1969" がSDG、トラフィック、クリームのプロモ映像付きでリリースされている。
一方アメリカにおけるデビューコンサートは、7月12日のマディソン・スクウェア・ガーデンだった。コンサートではブラインド・フェイスのオリジナル曲に加えて、観客の要望に応えて "Means To An End" や "Sunshine Of Your Love" など、トラフィックやクリームのナンバーも演奏された。アメリカでのツアーをサポートしたのはデラニー&ボニー&フレンズや、スティーヴ・ウィンウッドと同じアイランドレコード所属のフリーだった。
またアイランドはロンドンにおける自社の住所変更をメディアに知らせるために、ブラインド・フェイス名義のプロモーション用シングルを500枚プレスしている。69年6月のリリースで収録曲は両面とも無題のインストルメンタルだったため、このシングルは "Change Of Address" と呼ばれることになった。また7月にはアメリカで、シングル "Presence Of The Lord" が "Can't Find My Way Home" とのカップリングでリリースされた。
レコーディングの経緯
CD2枚組で発売されたデラックス版には、オリジナルの6曲に加え初期の頃のジャムセッションや、アルバム収録に至らなかった曲などが収録されている。アルバム "Blind Faith" はハイドパークのギグを間に挟む形で、英国のオリンピック、モーガンの両スタジオで録音された。最初はスティーヴ・ウィンウッドとエリック・クラプトン二人のごく私的なセッションから始まり、そこにジンジャー・ベイカーが加わり、しばらくは3人によるセッションが続いたようだ。そして69年の2月後半には "Well All Right" と "Presence Of The Lord" が録音されている(原タイトルは "Lord Protector" だった)。また当盤の2枚目に収められた4つのジャム・セッションも3月のすべて同じ日に録音されたもので、ガイ・ワーナーがパーカッションで参加している。リック・グレッチはまだメンバーに加わってなく、ベースパートはスティーヴが担当している。またこれと同じ日にリトル・ウォルターの "Key To The Highway" と、ボブ・ディランの "One Of Us Must Know (Sooner Or Later)" をベースにしたジャムも行われていたようだ。当時スティーヴは、かつてトリオでツアーを行っていたトラフィック時代のように、オルガンを弾きながらベースパートをフットベースで補っていたが、やはりベーシストの必要性を感じ、急きょファミリーで活躍していたリック・グレッチがメンバーに誘われた。
4人のメンバーが固まりバンド名が決定した5月には、"Sea Of Joy" とエレクトリック・ヴァージョンの "Can't Find My Way Home" が録音されている。"Time Winds" も同時期に録音されたスティーヴ・ウィンウッド作のイントルメンタルだが、完成までは至らなかったようだ。その後デビューギグとなるが、コンサート用のレパートリーが少なかったことからサム・メイヤーズ作 "Sleeping In The Ground" や、ローリング・ストーンズの "Under My Thumb" をこれに加えた。その後プロデューサーにジミー・ミラーが起用され、6月後半には "Do What You Like" と "Had To Cry Today"、そしてオリジナルには収録されなかった "Sleeping In The Ground" の2つのヴァージョン、さらにスティーヴ主導のインスト "Acoustic Jam" などが録音された。ライトギター・ヴァージョンといわれるアコースティックの "Can't Find My Way Home" は、レコーディングの一番最後に完成したナンバーで、バンド演奏とスティーヴのヴォーカルをほとんどスタジオライヴ風にマイク3本でシンプルに録音している。
アルバム制作を終えたメンバーは7月上旬にアメリカツアーに出発。約8週間のスケジュールを終え、9月にはスカンディナヴィア公演を実施、同月にアルバムもリリースされた。解散時期は明確ではないが、69年の暮れにはスティーヴ・ウィンウッドはジンジャー・ベイカーのエアフォースに参加し、エリック・クラプトンはデラニー&ボニーと行動を共にしているので、この頃にはすでにバンドは空中分解していたことになる。なおデラックス版収録の "Sleeping In The Ground" は、クラプトンの編集盤 "Crossroads" に収められている曲の別ミックスで、"Can't Find My Way Home" のエレクトリック・ヴァージョンは、スティーヴの編集盤 "The Finer Things" に収録された曲の別ミックスとなっている。それ以外の曲は当盤で初登場だ。また編集盤 "The Finer Things" にはハイドパーク公演から貴重なライヴ2曲が収録されている。
86年のドイツ盤CDには2つの未発表曲、"Exchange And Mart" と "Spending All My Days" が追加収録された。これらはブラインド・フェイスとしてのセッションではなく、リック・グレッチのソロアルバムのために、アメリカツアー後の69年10月にロンドンで録音されたもの。メンバーはエリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、デニー・レイン、トレヴァー・バートンで、スティーヴ・ウィンウッドとジンジャー・ベイカーもこれに加わっていたという説もある。2曲の作曲者はブラインド・フェイスの4人となっているが、もしこれが事実ならワールドツアー後に作曲したというより、アルバムの没テイクとみたほうが納得がいく。