AUTUMN '66
Spencer Davis Group
Side A
01. Together Till The End Of Time
02. Take This Hurt Off Me
03. Nobody Knows You When You're Down And Out
04. Midnight Special
05. When A Man Loves A Woman
06. When I Come Home
Side B
07. Mean Woman Blues
08. Dust My Blues
09. On The Green Light
10. Neighbour Neighbour
11. High Time Baby
12. Somebody Help Me
Producer : Island Record Production
Sound Engineer : Bob Auger
Musicians : Spencer Davis (vo,g), Steve Winwood (vo,g,key,harmonica), Muff Winwood (vo,b), Pete York (dr)
Release : Sep.1966 (Fontana TL 5359 / UK)
AUTUMN '66 (Remaster CD)
Spencer Davis Group
CD
01-12. Original Tracks
13. Gimme Some Lovin'
14. Blues In F
15. I'm A Man
16. I Can't Get Enough Of It
17. Waltz For Lumumba (aka. Waltz For Caroline)
18. Somebody Help Me [ US Version ]
19. Gimme Some Lovin' [ US Version ]
20. I'm A Man [ Stereo Mix Version ]
Compilation Producer : Shinjiro Kawashima
CD Release : 2006 (Universal Island UCIY93175 / JP)
アルバムについて
ハーフフェイスの渋いジャケットに包まれたスペンサー・デイヴィス・グループ(SDG)のサードアルバムは、タイトル通り1966年秋の9月にリリースされた。タイトルの由来としてピート・ヨークは、「バンドはちょうどこの頃あらゆるタイプの曲をマスターして、音楽的な成長を実感した頃だった」という理由も上げている。本作はSDGを代表するシングル "Gimme Some Lovin'" や "I'm A Man" を世に出す前の作品であるとはいえ、グループの人気も上昇気流に乗っていた時期だけに、3枚のオリジナルアルバムの中では最も聴き応えのある内容に仕上がっている。
本作は同年にリリースした2枚のシングルヒット曲 "When I Come Home" と "Somebody Help Me" を、それぞれAB面のラストに配置している。両曲共に "Keep On Running" と同じジャッキー・エドワーズ作品だが、前者はスティーヴ・ウィンウッドがクレジットに名を連ねている。またオリジナル曲としては "High Time Baby" と "On The Green Light" を収録、これ以外はトラディショナル曲をアレンジした "Midnight Special" と魅力的なカヴァー曲で構成されている。冒頭の "Together Till The End Of Time" を聴けば分かるように、スティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルは若々しい力強さに加えて深い魅力を増しているし、メンバー4人の演奏にもこれまで以上の安定感が感じられる。
リリース後さらなる活躍が期待されていたSDGであったが、これに反してマフとスティーヴのウィンウッド兄弟はすでに脱退を考え始めていたようだ。一方でバンドのさらなる飛躍を夢見ていたスペンサー・デイヴィスは、クリス・ブラックウェルからウィンウッド脱退の知らせを聞いた時は相当ショックだったという。結果的に本作がオリジナルメンバーによる第一期SDGの最終作となり、67年4月にウィンウッド兄弟は正式にグループを去る。スティーヴ・ウィンウッドはその直後にトラフィックを結成、マフ・ウィンウッドはレコードビジネス界に転身した。そしてスペンサー・デイヴィスとピート・ヨークは新たなメンバーを補充し、第2期SDGをスタートさせたのだった。
リマスターCDについて
スペンサー・デイヴィス・グループの3枚のオリジナルアルバムが、2006年にデジタルリマスターによる紙ジャケットCD仕様で限定発売された(08年にSHM-CDでアンコールプレス)。オリジナル音源を使った公式のリマスターCD化は初なので喜ばしい限りなのだが、さらにサブタイトルで「スペンサー・デイヴィス・グループ : コンプリートコレクション」と銘打っている通り、3枚それぞれに収録の豊富なボーナストラックによって、オリジナルアルバム未収録の公式録音曲を全てをカヴァーすると共に、SDGのレコードを米国にて配給していたUA (United Artists) のリリースによるヴァージョン違いの曲まで網羅するという徹底ぶりが素晴らしい。日本人による本シリーズ制作サイドの熱意が感じられる。特にドイツ限定シングル "Det War In Schöneberg" と 米シングルヴァージョンの "Somebody Help Me"、そして "I'm A Man" のステレオヴァージョンなどはこれまであまり聴く機会がなかった貴重な音源といえる
※追加収録曲の詳細は収録アルバム毎に「リマスターCD追加収録曲について」に記載。
収録曲について
Together Till The End Of Time
(F.Wilson) 2:51
"Every Little Bit Hurts" に続くブレンダ・ハロウェイのカヴァー。ステージでも好んで歌われていたSDGの定番バラードで、スティーヴ・ウィンウッドのオルガンと表情豊かなヴォーカルは堂に入った貫禄さえ感じさせる。
Take This Hurt Off Me
(D.Covay / R.Miller) 2:45
前作に収録された "Plese Do Someting" に続くドン・コヴェイのカヴァーで、メロディアスかつパワフルなナンバー。スモール・フェイシスのスティーヴ・マリオットも歌っているが、歌詞の "She said, Stevie come on in!" というフレーズは偶然だけど面白い。
Nobody Knows You When You're Down And Out
(J.Cox) 3:52
数多くのミュージシャンにより歌われているブル−ズバラードの名作。スティーヴ・ウィンウッドの深みのあるヴォーカルとピアノプレイが渋くきまっている。SDGが録音したスローナンバーの中でも出色の完成度を誇る。スティーヴは73年のレンボー・コンサートでもこの曲を歌っているが、出来はSDGヴァージョンの圧勝。
Midnight Special
(Traditional / Arr. S.Winwood) 2:13
レッドベリーなどが歌っていたトラディッショナルソングをアレンジした、カントリー風のナンバー。リードヴォーカルはこの曲をデビュー前の若い時から歌っていたスペンサー・デイヴィスで、スティーヴ・ウィンウッドはコーラスで加わる。
When A Man Loves A Woman
(C.Lewis / A.Wright) 3:09
R&Bシンガー、パーシー・スレッジの同時期のヒット曲をカヴァー。オリジナルの迫力にはかなわないとはいえ、スティーヴ・ウィンウッドのソウルフルなヴォーカルを堪能できる1曲となっている。
When I Come Home
(J.Edwards / S.Winwood) 1:57
"Keep On Running"、 "Somebody Help Me" に続くジャッキー・エドワーズ3部作のひとつで7枚目のシングルとしてリリースされたが、前2作の様な大ヒットにはならなかった。2分に満たない短い曲だが親しみやすく、スティーヴ・ウィンウッドがソングライティングに協力している。
Mean Woman Blues
(C.Demetrius) 3:13
ロイ・オービソンのヒットで知られるR&Bの名曲。ブラックフィーリング溢れるスティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルの冴えが素晴らしい。
Dust My Blues
(R.Johnson / E.James) 2:37
エルモア・ジェイムズのカヴァーで、スペンサー・デイヴィスのリードヴォーカルものではベストといえる。リードギターはスティーヴ・ウィンウッド。ステージでも好んで歌われていた。
On The Green Light
(S.Winwood) 3:05
スティーヴ・ウィンウッド作のオルガンをフィーチャーしたインスト曲。この種のものを彼らは何曲か録音しているが、どれもオルガンを縦横無尽に弾きまくっていて完全にスティーヴの独壇場だ。
Neighbour Neighbour
(A.J.Valier) 3:19
スペンサー・デイヴィスのリードヴォーカルによるブルーズ調の曲。ジャック・ブルースやグラハム・ボンドもカヴァーしているオールドブルーズで、古くはロニー・ホーキンズの録音がある。
High Time Baby
(S.Winwood / M.Winwood / S.Davis / P.York) 2:41
ヴォーカルものでは本作唯一のオジリナル作品で、メンバー4人の共作によるアップテンポの軽快な作品。5枚めのシングル "Keep On Running" のB面曲なので、本来ならセカンドに収録すべき曲であった。
Somebody Help Me
(J.Edwards) 2:02
ジャッキー・エドワーズ作の第2弾で6枚目のシングルとしてリリースされた。 "Keep On Running" ほどの強烈なインパクトはなかったが、上昇気流に乗って2枚連続ナンバーワンヒットを獲得した。
リマスターCD追加収録曲について
Gimme Some Lovin'
(S.Winwood / M.Winwood / S.Davis) 2:57
8枚目のシングルでチャートの第2位を獲得したSDGを代表するオリジナルの傑作。この曲の誕生に関して興味深いエピソードがある。66年当時のSDGは上昇気流に乗っていたとはいえ、高い人気を保ち続けるためにはシングルヒットが欠かせなかった。クリス・ブラックウェルはジャッキー・エドワーズの作品などいろいろな曲のレコーディングを勧めたが、メンバーは自作曲で勝負したいと考えていた。レーベルサイドからのプレッシャーを真っ向から受けてスタジオで時間に追い詰められたメンバーは、タイムリミット30分の間際に素晴らしい曲のアイデアを思いついた。その際に即興で完成させたのがこの曲だった。特徴ある2音階のバスリフにスティーヴ・ウィンウッドの鋭いハモンドオルガンとソウルフルなヴォーカルが続く。ソロになってからも重要なレパートリーとして歌い継がれているブルーアイドソウルの名曲だ。
Blues In F
(S.Winwood) 3:26
スティーヴ・ウィンウッド作ハモンドオルガンによるインストルメンタル。ジャズオルガン奏者ジミー・スミス風のナンバーで、この種のインスト曲の中では最も聴き応えがある。"Gimme Some Lovin'" のB面曲だがUS盤シングルのクレジットだけなぜか "P.Bishop" になっている。
I'm A Man
(S.Winwood / J.Miller) 2:56
トラフィックのメンバーを迎えて録音された最後のシングル。スティーヴ・ウィンウッドとジミー・ミラーが共作したこの曲は、シンプルなベースラインにシャープなオルガンとファンキーなギター、それにアグレッシヴなパーカッションを加えたR&B風のナンバーで、下降線をたどるようなコラースラインも特徴的。"Gimme Some Lovin'" と双璧をなすSDGの名曲。ステレオミックス・ヴァージョンもある。
I Can't Get Enough Of It
(S.Winwood / J.Miller) 3:43
アメリカ出身の敏腕プロデューサー、ジミー・ミラーとスティーヴ・ウィンウッドの初の共作曲で、同じコンビで書いたシングル "I'm A Man" のB面に収録された。A面曲ほどの強烈なインパクトはないが完成度は高い。
Waltz For Lumumba (aka. Waltz For Caroline)
(S.Winwood) 4:19
サントラ盤 "Here We Go Round 〜" 収録の "Waltz For Caroline" を改題したもの。エキゾチックかつサイケデリックな要素も見いだせる、ハモンドオルガンをメインとしたインストルメンタル。トラフィックのメンバーも録音に参加している。
Somebody Help Me [ US Version ]
英オリジナルにはギターをメインにしているが、こちらの米シングル用ヴァージョンではオルガンがこれに替わっている。ほとんどの編集盤はオリジナルのほうを収めているので、このオルガン・ヴァージョンは貴重。
Gimme Some Lovin' [ US Version ]
英オリジナルに対し、ジミー・ミラーのプロデュースによるコーラスとパーカッションを加えた米シングル用ヴァージョン。"Eight Gigs A Week" 以外のほとんどの編集盤はこちらのヴァージョンを収録しているので、逆にオリジナルのほうが聴く機会が少ない。
