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スティーヴ・ウィンウッド・アルバムガイド (BACK IN THE HIGH LIFE)

BACK IN THE HIGH LIFE

Steve Winwood

Side A
01. Higher Love
02. Take It As It Comes
03. Freedom Overspill
04. Back In The High Life Again

Side B
05. The Finer Things
06. Wake Me Up On Judgment Day
07. Split Decision
08. My Love's Leavin'

Producers : Steve Winwood, Russ Titleman

Engineers : Tom Lord Alge, Jason Corsaro

Cover Designer : Jeri McManus

Musicians : Steve Winwood (vo,org,key,p,mand,g,b,syn)
Nile Rodgers (g), Joe Walsh (g), James Taylor (vo), Chaka Khan (vo), James Ingram (vo), Paul Pesco (g), Eddie Martinez (g), Robby Kilgore (key,syn), John Robinson (dr), Mickey Curry (dr), Steve Ferrone (dr), Jimmy Bralower (dr-prog), Carol Steele (perc), Andrew Thomas (syn), Rob Mounsey (syn,key), Randy Brecker (tp), Lewis Del Gatto (sax), Tom Malone (tb), Bob Mintzer (sax), George Young (sax), David Frank (horn-arr.,syn) etc.

Recording : Jul.1985 -86 (Unique Recording Studio, Right Track Recording, Power Station, Giant Sound, New York / Netherturkdonic Studio, England)

Release : Jul.1986 (Island ILPS 9844 / UK)

アルバムについて

スティーヴ・ウィンウッドはこのアルバムで完全にイメージチェンジを図った。まず長閑なグロースターシャの自宅スタジオを抜け出し、ニューヨークの大都会に渡った。そして自ら全ての楽器を操るのをやめ、セッションミュージシャンを起用しゲストミュージシャンを迎え入れた。さらに新しいマネージャーをつけ共同プロデューサーさえも探したのだった。またヴィジュアル面においても、ジャケットには自身の写真を使いインナーにもモデル風のショットを取り入れた。このように、これまでとはまったく異なるコンセプトで制作された4枚目のソロアルバムは、期待を大幅に上回る大ヒットを記録、スティーヴの全キャリアの中でも、ひときわ光輝く素晴らしい傑作となったのだ。

共同プロデュースはラス・タイトルマン。彼とスティーヴ・ウィンウッドとはジョージ・ハリスンの79年のソロ作で初めて出会い、その後クリスティン・マクヴィのアルバムでも共演している。さらに注目すべきはジョー・ウォルシュ、チャカ・カーン、ナイル・ロジャース、ジェイムズ・イングラム、そしてジェイムズ・テイラーという豪華ゲストの面々だ。スティーヴはニューヨークのスタジオ付近に部屋を借り、85年の7月から本作の制作を開始、活気に満ち溢れた都会のパワーは、スティーヴのアルバムに新風を吹き込んだ。

ここに収録された8曲には、スティーヴ・ウィンウッドの本来の持ち味であるR&B風ソウルに良質のポップセンスを散りばめており、そのクオリティは非常に高い。全体のトーンも都会的に洗練されていて実にスマートだ。さらにシングルを含め本作は、86年のグラミー賞6部門にノミネートされ(この年の最高ノミネート数)、うち「レコード・オブ・ザ・イヤー」と「ベスト・ポップ男性ヴォーカル・パフォーマンス」、それにエンジニアリングに与えられた賞の3部門を見事勝ち取った。

アルバムタイトルで宣言した通り、本作の大ヒットによりスティーヴ・ウィンウッドは再びハイライフを手に入れた。 10代の頃にデビューしスペンサー・デイヴィス・グループ時代には天才少年と騒がれたスティーヴだが、トラフィック時代とソロ3作までは地味な職人風ミュージシャン、孤高のアーティストのイメージが支配的だった。それを払拭するかのような本作のヒットは、スティーヴの名を再び世界のリスナーに思い出させ、さらに新しいファンを獲得するだけのインパクトがあった。移り変わりの激しいこの音楽業界で、デビュー20年目にして再びトップシーンに返り咲くミュージシャンが一体どれだけいるだろうか?スティーヴはそれを見事に成し遂げたわけだが、それはこの好奇心旺盛なアーティストの実力を証明するもので、これまでに吸収してきた様々な音楽的経験が長い年月を経て萌芽したに違いない。

収録曲について

Higher Love
(S.Winwood / W.Jennings) 5:51
スティーヴ・ウィンウッドの代表曲といえばアルバムトップを飾るこの作品を外すわけにはいかない。ソロシングルとしてアメリカにおける初のナンバーワンヒットを記録、さらに86年度グラミーの「ベスト・ポップ男性ヴォーカル・パフォーマンス」獲得の対象曲となった。しかしこのような肩書きを除いてもこの曲は素晴らしい。都会派ポップソウルを代表する曲で、メロディー、ヴォーカル、演奏のどれをとってもそのセンスは絶品だ。チャカ・カーンがバックヴォーカル、ナイル・ロジャースがギターで参加。

Tale It As It Comes
(S.Winwood / W.Jennings) 5:24
シャープなリズムとアメリカ風の華やかなホーンセクションを強調した辛口ソウルナンバー。艶のあるヴォーカルはもちろん、スティーヴ・ウィンウッドによるキーボードやオルガン、それに後半の迫力あるギターソロも聴き所。

Freedom Overspill
(S.Winwood / J.Hooker / G.Fleming) 5:37
スティーヴ・ウィンウッドを代表するヒットシングルのひとつで、ジョー・ウォルシュのパワフルなスライドギターと、スティーヴの切れ味の鋭いハモンドオルガンをフィーチャー。歌詞が珍しくシニカルで、その内容は離婚訴訟中だった前妻ニコルのことを思わせる部分もある。

Back In The High Life Again
(S.Winwood / W.Jennings) 5:36
本アルバムのタイトルナンバーは、マンドリンとピアノを取り入れた素朴な味わいが魅力の名曲。これは本作のセッション以前から着手されていた曲で、未完成のまま放置されていたのを復活させたという。当初はハイライフ&カリプソ風のビートが強調された曲だったが、シンセサイザーで手直しをし、マンドリンを加えたら驚くほど良い曲に生まれ変わったとスティーヴ・ウィンウッド自身が語っている。さらにジェイム・テイラーのハーモニーヴォーカルが素晴らしく、これを直感的に歌った彼の力量をスティーヴは高く評価していた。

The Finer Things
(S.Winwood / W.Jennings) 5:51
B面をフェイドインで始めるこの曲もスティーヴ・ウィンウッドの代表曲のひとつ。温かみのあるシンセサイザーを主体とした曲で、優雅なシンセソロと静と動を上手く絡み合わせたメロディが印象的な佳曲だ。バックヴォーカルにはジェイムズ・イングラムが参加。なお曲名は、後にリリースされた4枚組ボックスセットのタイトルに採用された。

Wake Me Up On Judgement Day
(S.Winwood / W.Jennings) 5:50
スピリチュアルな作風が魅力のこの曲は、ウィル・ジェニングスとスティーヴ・ウィンウッドが出会ったある人物について歌っているという。本作において5曲の歌詞を担当するウィル・ジェニングスとは、このアルバムにおいて絶妙なコラボレーションに到達している。ナイル・ロジャースがギターを担当。

Split Decision
(S.Winwood / J.Walsh) 6:02
アルバム中で最もアグレッシヴなハード・ソウルナンバー。イーグルスのジョー・ウォルシュとの共作で、彼のスライドギターとスティーヴ・ウィンウッドのハモンドの絡みがスリリングで即興性に満ちている。この曲はマンハッタンのスティーヴのフラットで一夜にして仕上げたらしく、二人のインスピレーションの手助けをしたのは「最高に旨いラガーだったよ!」とスティーヴは回想している。

My Love's Leavin'
(S.Winwood / V.Stanshall) 5:20
アルバムの最後を飾るのは、しっとりとした温かみのあるシンセサイザーの音色が、哀愁感溢れるメロディを紡ぎだす美曲。スティーヴ・ウィンウッドの優しく伸びやかなヴォーカルとシンセソロを堪能できる。同曲は自宅の火災により95年に死亡した親友ヴィヴィアン・スタンシャルとの最後の共作曲でもある。

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