HOME > DISCOGRAPHY > SOLO WORKS
ALL WORKS | SOLO WORKS | TRAFFIC | SPENCER DAVIS GROUP | OTHER WORKS

スティーヴ・ウィンウッド・アルバムガイド (STEVE WINWOOD)

STEVE WINWOOD

Steve Winwood

Side A
01. Hold On
02. Time Is Running Out
03. Midland Maniac

Side B
04. Vacant Chair
05. Luck's In
06. Let Me Make Something In Your Life

Producers : Steve Winwood, Chris Blackwell

Engineers : Phill Brown, Robert Ash, Ray Doyle

Cover Illutrator : James Hutcheson

Musicians : Steve Winwood (vo,g,org,p,b,syn,dr)
Willie Weeks (b), Andy Newmark (dr), Brother James (perc), Junior Marvin (g), Alan Spenner (b), John Susswell (dr), Jim Capaldi (perc,vo), Reebop Kwaku Baah (perc), Nicole Tacot (vo)

Recording : 1976 -77 (Basing Street Studio, Island Mobile & Chipping Norton Studio, London)

Release : Jul.1977 (Island ILPS 9494 / UK)

アルバムについて

シンプルに自身の名を冠したスティーヴ・ウィンウッド初のソロアルバム。トラフィックを74年に解散させてからの数年間、メディアはソロアルバムを期待したが、スティーヴは自らの進むべき方向を定め切れなかったようで、この時期は多様なジャンルへのセッション参加以外には目立った音楽活動はしていない。しかしこの期間で最も大きな成果を残したツトム・ヤマシタ主催のGOに参加し、短期間ではあったが主要なメンバーとして活躍した後、スティーヴはソロアルバムを制作する自信をにわかにつかみ始めたようだ。

そして76年、アンディ・ニューマークとウィリー・ウィークスという強力なリズムセクションを起用し、トラフィックのジム・キャパルディやリーボップ・クワク・バーらの協力を得て、待望のソロアルバム制作に着手、翌77年にリリースした。全6曲中の4曲をジムと共作、1曲を元ボンゾ・ドッグ・バンドのヴィヴィアン・スタンシャルと共作、そして1曲はスティーヴ・ウィンウッドの単独作となっている。

アルバムがリリースされた頃はちょうどパンク台頭期で、これに否定的だったスティーヴ・ウィンウッドの作品は決して流行に乗った作風とはいえなかった。しかしさすがにこれまでの長いキャリアは駄作を生み出すことを許さず、ここでの音楽的なバランス感覚と、作曲&演奏センスの鋭さは一級品といえる。「レコード会社からの要請に応じて制作した部分が大きかった」と、後年スティーヴ自身が述べていることもあり、実力の全てを出し切った成果とはいえないのかも知れない。それでも完成度は非常に高くソロ作品群のなかでもひときわ渋い魅力を放っており、決して時代に流されることのない永遠の名作といえよう。

収録曲について

Hold On
(S.Winwood / J.Capaldi) 4:34
アルバムは黒っぽいリズムをベースにした渋いナンバーで幕開けとなる。新たに起用したアンディ・ニューマークとウィリー・ウィークスのリズムセクションは抜群の安定感で、スティーヴ・ウィンウッドのギターとキーボードにも良くマッチしている。地味な作風ながら聴き手を引き込む魅力がある。

Time Is Running Out
(S.Winwood / J.Capaldi) 6:31
前曲のほの暗い雰囲気を受け継いだこの曲は、スティーヴ・ウィンウッドのファンキーなヴォーカルとギターに尽きる。バックヴォーカルにジム・キャパルディとスティーヴの前妻ニコル・タコット(当時はまだ結婚していない)が参加していて、特に後半でオルガンを加えながら、スティーヴとバックコーラスで即興的な展開をみせる部分がおもしろい。コンガはリーボップが担当。なおこの曲はシングルカットされ、B面にはアルバム未収録のインストルメンタル "Penultimate Zone" が収録された。

Midland Maniac
(S.Winwood) 8:28
作詞作曲、楽器演奏、プロデュース、エンジニアリングの全てをスティーヴ・ウィンウッドが独りで行った初めての作品で、たった独りで作り上げた次作 "Arc Of A Diver" の布石となる曲だ。この曲をたった一人で創り上げたことに対してスティーヴは、詩の内容が私的過ぎたことと、コードチェンジの説明が難しかったことを理由として挙げている。8分強の本作はアルバムで最もスケールが大きく、ピアノをベースにしたバラード風の曲想とファンキーな部分を交互に展開し、さまざまな楽器が上品に重なり合う。後半のソウルフルなヴォーカルの盛り上がりも圧巻。聴き応えのある力作だ。

Vacant Chair
(S.Winwood / V.Stanshall) 6:56
トラフィック時代からの親友ヴィヴィアン・スタンシャルとスティーヴ・ウィンウッドの共作ナンバー。R&Bやアフロなど様々な音楽要素が巧みに絡み合った意欲作でなかなかの逸品。スタンシャルの詩は74年に自殺したグラハム・ボンド(スティーヴはエアフォースで共演)の死を扱っており、途中スワヒリ語による "the dead are weeping for the dead" という一節が挿入された部分などは、特に異国情緒溢れる不思議な響きを奏でている。ギターにウェイラーズのジュニア・マーヴィンを、リズムセクションにはココモのアラン・スペナーとジョン・サスウェルを起用している。

Luck's In
(S.Winwood / J.Capaldi) 5:23
電子音楽風の単調なリズムを曲の前後に配置、全体的にギターとパーカッションを強調したシャープな音作りをしている。実験的な要素も多分に含み、演奏のほうにより重きをおいた後期トラフィック風のイメージが強い。コンガはリーボップ担当。

Let Me Make Something In Your Life
(S.Winwood / J.Capaldi) 5:32
アルバムの終幕は本アルバム中で最も上品かつ優雅なバラード。スティーヴ・ウィンウッドによるピアノやオルガン、ギターなどの各種楽器の巧みな演奏と、実に伸びやかでソウルフルなヴォーカルを堪能できる美曲だ。英国出身の女流シンガー、ジュリー・コヴィントンもカヴァーしている。

STEVE WINWOOD
STEVE WINWOOD