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トラフィック・アルバムガイド (WHEN THE EAGLE FLIES)

WHEN THE EAGLE FLIES

Traffic

Side A
01. Something New
02. Dream Gerrard
03. Graveyard People

Side B
04. Walking In The Wind
05. Memories Of A Rock 'n' Rolla
06. Love
07. When The Eagle Flies

Producer : Traffic, Chris Blackwell

Engineers : Brian Humphries, Nobby Clark

Cover Designer : Martin Hughes

Musicians : Steve Winwood (vo,g,org,p,syn), Jim Capaldi (dr,perc,vo), Chris Wood (fl,sax), Rosco Gee (b), Reebop K.Baah (perc)

Recording : Jun.- Jul.1974 (Netherturkdonic Studio, England & Basing Street Studio, Island Mobile, London)

Release : Sep.1974 (Island ILPS 9273 / UK)

アルバムについて

トラフィックのラストアルバム。"Shoot Out At The Fantasy Factory" ツアー終了後、マッスル・ショールズのメンバー3人はアメリカに帰国し、パーカッショニストのリーボップ・クワク・バーは、ステージでの度重なる奇行や傷害事件などによりバンドからの除名を余儀なくされた(一部参加)。そのため本作はスティーヴ・ウィンウッド、ジム・キャパルディ、クリス・ウッドのメインメンバーに、ジャマイカ出身のベーシストで、元ゴンザレスのロスコ・ジーを加えた4名で制作されている。これまでのようなバンド主体の音というより、どちらかというとスティーヴの主導権が大きく現れた印象が強く、ソロ作にも通じるような趣さえ感じさせる。

詩的で閑寂とした雰囲気に包まれた哀愁感のある本作は、ほとんどの曲がコンパクトにまとまっており、無国籍風ではあるが根底には英国の香りを漂わせている。スティーヴ・ウィンウッドの澄みきったソウルフルなヴォーカルも、特筆すべき点だろう。またシンセサイザーを導入したことも大きな特徴といえよう。ソロ作にも当てはまることだがスティーヴの電子音響楽器の使い方は非常にジェントルかつヒューマンで、メカニカルな匂いを感じさせない。この作品もそういう長所を上手く生かし、新たなカラーをバンドサウンドに取り入れることに成功している。

トラフィックのこの最終作は、彼らの白鳥の歌と呼ぶにふさわしい寂然とした気分に満ちていると同時に、新たなる再出発までの別れをさりげなく告げているようにも感じられる。英国レディング・フェスティヴァルにおける74年8月のコンサートが、結果的にトラフィックのファイナルコンサートとなり、アルバム発表後の12月に彼らは活動停止を発表した(75年解散説もある)。

収録曲について

Something New
(S.Winwood / J.Capaldi) 3:15
久々にコンパクトにまとまった作品で、軽やかに流れるピアノの音色が小気味好い。ロスコ・ジーをベースに加えた新しいメンバー4人による演奏は、明るさと上品さを適度に兼ね揃えていて、スティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルも伸びやかで冒頭から聴き惚れてしまう。

Dream Gerrard
(S.Winwood / V.Stanshall) 11:01
最も注目すべき長編ロマンバラード。11分強という長さはトラフィックとしては珍しくはないが、これまでの長大な諸作品とは趣の異なる新たな試みを感じさせる曲だ。共作者はスティーヴ・ウィンウッドがその才能を高く評価する、元ボンゾ・ドッグ・バンドのヴィヴィアン・スタンシャル。スティーヴはソロ活動後も彼とソングライティングを共にしているが、この曲は二人による初めての成果となる。シンプルなリズムに乗せてピアノやオルガン、メロトロンがファンタジックな響きを生み出し、さらに他の曲とは明らかに異質のスティーヴのハイトーンヴォイスがこれに重なる。実に幻想的な作品で、何度聴いても惹きつけられてしまう不思議な魅力を放っている。歌詞をメインで担当したスタンシャルによると、この作品は妄想に取り憑かれて自殺したフランスの詩人、ジェラール・ド・ネルヴァルに捧げられたという。

Graveyard People
(S.Winwood / J.Capaldi) 6:05
シンセサイザーを大々的にフィーチャーしたパワフルな作品で、実験的な要素も含んだ個性豊かなナンバーだ。スティーヴ・ウィンウッドのシンセソロやピアノにクリス・ウッドのサックスが巧みに絡み合い、マイナー調の不気味な雰囲気を漂わせている。

Walking In The Wind
(S.Winwood / J.Capaldi) 6:51
英国においては68年のシングル "Medicated Goo" 以来、久々にシングルカットされたナンバー。風の音のフェイドインで始まるが、効果音を入れるというのもトラフィックとしては珍しい試みだ。ピアノとシンセサイザーによるメロディアスな作品で、スティーヴ・ウィンウッドのクリアなヴォーカルを存分に楽しむことができる。

Memories Of A Rock 'n' Rolla
(S.Winwood / J.Capaldi) 4:48
スローテンポだがファンキーなノリが魅力。自伝的な内容の歌詞が興味深く、「60エーカーの土地と邸宅」というフレーズは、スティーヴ・ウィンウッドが 70年に購入した、グロースターシャの土地と家を指す。ちなみにこのアルバムのほとんどの曲は、同地に造られたスティーヴの自宅スタジオ(ニーザータークドニック・スタジオ)にて録音されている。

Love
(S.Winwood / J.Capaldi) 3:16
フルートとオルガンをメインとした郷愁感溢れる小品で、その曲調は初期トラフィック・サウンドを彷彿とさせる。ツアー中のライヴ音源をエディットしたもの。

When The Eagle Flies
(S.Winwood / J.Capaldi) 4:21
ラストのタイトルナンバーはピアノをベースにした優雅な作風で、英国的な上品さを感じさせる佳曲。リーボップもパーカッションで参加。荒涼とした大自然に向かって静かに、しかし力強く語りかけるような作品で、スティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルはここでピークに達する。冴え渡るハイトーンヴォイスは実に心地よく、そして伸びやかで、とにかく上手い。

WHEN THE EAGLE FLIES
WHEN THE EAGLE FLIES