MR. FANTASY
Traffic
Side A
01. Heaven Is In Your Mind
02. Berkshire Poppies
03. House For Everyone
04. No Face No Name No Number
05. Dear Mr.Fantasy
Side B
06. Dealer
07. Utterly Simple
08. Coloured Rain
09. Hope I Never Find Me There
10. Giving To You
Producer : Jimmy Miller
Engineer : Eddie Kramer
Cover Designer : Chris Wood & CCS Advertising Associates
Musicians : Steve Winwood (vo,g,org,p,b,harpsicord,perc), Jim Capaldi (dr,perc,vo), Chris Wood (fl,sax,org,perc,vo), Dave Mason (vo,g,b,mellotron,sitar,tambura,shakkai)
Recording : Jul.-Nov.1967 (Olympic Studio, London)
Release : Dec.1967 (Island ILP 961, ILPS 9061 / UK)
MR. FANTASY (US Edition)
Traffic
Side A
01. Paper Sun
02. Dealer
03. Coloured Rain
04. Hole In My Shoe
05. No Face No Name No Number
06. Heaven Is In Your Mind
Side B
07. House for Everyone
08. Berkshire Poppies
09. Giving To You
10. Smiling Phases
11. Dear Mr. Fantasy
12. We're A Fade, You Missed This
Producer : Jimmy Miller
Musicians : Steve Winwood (vo,g,org,p,b), Jim Capaldi (dr,perc,vo), Chris Wood (fl,sax,vo), Dave Mason (vo,g,b,sitar,perc)
Recording : Jul.-Nov.1967 (Olympic Studio, London)
Release : Jan.1968 (United Artists UAL 3651, UAS 6651 / US)
MR. FANTASY (Remaster CD)
Traffic
UK Edition
01-10. Original Tracks [Stereo]
11-22. US Original Tracks [Mono]
US Edition
01-10. Original Tracks [Mono]
11. Paper Sun [Mono Single Mix]
12. Giving To You [Mono Single Mix]
13. Hole In My Shoe [Mono Single Mix]
14. Smiling Phases [Mono Single Mix]
15. Here We Go Round The Mulberry Bush [Mono Single Mix]
UK Release : Oct.1999 (Island IMCD 264)
US Release : 2000 (Island 542 823-2)
アルバムについて
スティーヴ・ウィンウッド、ジム・キャパルディ、クリス・ウッド、デイヴ・メイスンの4人はトラフィックを結成、1967年4月に「田舎での共同生活」を実行することでその活動をスタートさせた。場所はバークシャー郊外のアストン・ティロードにあるコテージ。メンバーは都会の喧噪を離れた郊外で周囲からの干渉を受けることなく、田舎での気ままな生活を楽しみながらジャムセッションを重ね、トラフィックという新しいバンドの音を模索していった。そんな環境の中で同年暮れに誕生したこのファーストアルバムは、クリス主導によるジャケットデザインを含めてファンタジックな雰囲気に包まれたトータル性重視の内容となっている。先に世に出たビートルズのアルバム "Sgt. Peper's 〜" の影響を受け、当時のサイケデリックムーブメントを反映したコンセプトアルバムの代表盤としても高い評価を獲得した名盤だ。
しかしスティーヴ・ウィンウッド自身が語っているように、トラフィックはR&Bやブルーズ、ジャズ、フォーク、さらにはクラシックなど、あらゆる要素を意識的にブレンドしようと試みたバンドである。そのことからも明らかなように個々の曲をじっくりと聴いてみると、これがただの時代を反映したアルバムでないことに気付かされる。全体的な印象はサイケデリックな雰囲気が濃厚ではあるが、スティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルやオルガンにはR&Bやクラシカルな方向性もあり、デイヴ・メイスンはインド楽器やフォーク風のギターで個性を主張している。またクリス・ウッドのサックスやフルートにはジャズの要素や牧歌的な雰囲気があり、ジム・キャパルディによるファンタジックな詩の世界も独特のカラーをアルバムに投影している。以上のように濃い内容に仕上がったアルバムである本作は、音楽的才能とキャリアを併せ持った4人のミュージシャンの才能が結実した傑作といえよう。しかしアルバムリリース後デイヴは、メンバーとの方向性の違いを理由に早々にトラフィックを脱退してしまった。
米国盤について
米国でリリースされたトラフィックのファーストアルバムは、ジャケットデザインと収録曲が英国盤と大きく異なっている。リリース当時には既にデイヴ・メイスンが脱退していたことからジャケットは3人のポートレイトに変更された。収録曲についてもデイヴ作の "Utterly Simple" と "Hope I Never Find Me There" がはずされ、シングルとしてリリース済みの3曲、すなわち "Paper Sun"、"Hole In My Shoe"、"Smiling Phases" に差し替え曲順もかなり入れ替えている。また1曲目 "Paper Sun" の後半45秒をカットし "We're A Fade, You Missed This" のタイトルでアルバムの最後にリプリーズし、さらにサントラ盤 "Here We Go Round 〜" からピックアップした音楽の断片にて各曲間の空白を小音量で埋めている。これらはアルバム全体のトータル性を演出する工夫だろうが、メンバーの意向というより当時アメリカにおけるトラフィック・アルバムの発売元だったUA(United Artists)の趣向だったように思える。"Mr. Fantasy" はトータル性を重視したアルバムなのでシングルをあえて外した英オリジナルで聴く方が自然だろう。なおアルバムタイトルは当初 "Heaven Is In Your Mind" を予定していたが、最終的に "Mr. Fantasy" に改められている。
リマスターCDについて
トラフィックのオリジナルアルバム9枚に編集盤 "Heaven Is In Your Mind" と "Feelin' Alright: The Very Best Of Traffic" の2枚を加えた計11枚が、2001年以降デジタルリマスターCDでリリースされた。そのうちファーストとセカンドアルバム、"John Barleycorn 〜" の3枚は英米両国で別々に制作したためか、上記曲目通り追加収録曲に違いが生じている。また同年7月にはオリジナルアルバムに編集盤 "Heaven Is In Your Mind" を加えた計10枚が紙ジャケット仕様の国内盤としてリリースされている。追加収録曲については "John Barleycorn 〜" 以外は米国リマスターに準じている。
"Mr. Fantasy" はモノラルとステレオの両方でリリースされており双方でヴァージョン違いが多い。さらに米国では異なる編集でリリースされたことから合計4種類のエディションが存在していることになる。これらの音源は英米リリースによる "Mr.Fantasy" と編集盤 "Heaven Is In Your Mind" のリマスターCD3枚で聴くことができる。すなわち英国リマスターCDには英ステレオ版に加え米モノラル版の "Mr. Fantasy" を収録、米国リマスターCDには英モノラル版を収録(さらに同時期のシングル5曲を追加)、そして米ステレオ版は "Heavan Is In Your Mind" のタイトルでリリースされている(さらに追加で4曲収録)。モノラルとステレオでは "Heavan Is In Your Mind" の後半のギターや、"Giving To You" の冒頭が大きく異なるほか、微妙に違う曲がいくつか存在する。また米リマスター収録のシングル曲も全てモノラルでステレオとは微妙に異なるが、特に "Giving To You" は冒頭にスティーヴ・ウィンウッドのセリフが入っており、アルバムテイクとも別ヴァージョンとなっている。
収録曲について
Heaven Is In Your Mind
(S.Winwood / J.Capaldi) 4:11
アルバムは激しいビートのサイケ・ロックで幕を開ける。全編に流れるジャズっぽいタッチのピアノと軽快なドラムス、後半のジャム風な展開、スティーヴ・ウィンウッドのリードヴォーカルとメンバーのコーラスの掛け合いなどが聴きどころだ。
Berkshire Poppies
(S.Winwood / J.Capaldi / C.Wood) 2:51
トラフィックとしては異色のヴォードヴィルスタイルのナンバーで、タイトルはコテージの周りにケシ(Poppy)が群生していたことに由来している。ワルツのリズムによる楽しげな曲調と、とぼけた感じのスティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルが印象的。録音にはスモール・フェイシズのメンバーも参加している。
House For Everyone
(D.Mason) 2:02
デイヴ・メイスンのヴォーカルによる単独作。タイトル通りメンバーが共同生活をしていたバークシャーのコテージについて書かれた曲で、オープニングのネジ巻きの音が印象的だ。
No Face No Name No Number
(S.Winwood / J.Capaldi) 3:30
クラシカルな雰囲気に満ちた名バラード。憂愁なスティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルとオルガン、それにクリス・ウッドのフルートが幻想的で美しい世界を演出する。バロック風の印象的なアコースティックギターもスティーヴが弾いている。
Dear Mr.Fantasy
(S.Winwood / J.Capaldi / C.Wood) 5:40
タイトルナンバーであるこの曲の誕生には実に興味深い話がある。コテージでのある晩、ジム・キャパルディは紙切れに尖り帽子をかぶったギター弾きの操り人形の絵を描き、その横に「ファンタジーさん、僕たちがハッピーになるような楽しい音楽を奏でてください」と手紙風のメッセージを添えた。そのまま彼は寝入ってしまったが、ふと気が付くと、スティーヴ・ウィンウッドとクリス・ウッドがこのメッセージに素敵なメロディを付けていたのだ。メンバー4人の質の高い演奏を満喫できるこの曲は、不朽の名作と呼ぶにふさわしいトラフィック・スタンダードだ。なおファンタジーとは、ローディが飼っていた白いシェパードの名前に由来しているという。
Dealer
(J.Capaldi / S.Winwood) 3:30
フルートとアコースティックギターを効果的に配した美しい曲で、ジム・キャパルディをメインにしたスティーヴ・ウィンウッドとのデュエットが珍しい。また商業主義のアイランドのボス、クリス・ブラックウェルに対する皮肉めいた詞がおもしろい。
Utterly Simple
(D.Mason) 3:11
デイヴ・メイスンのヴォーカルによる単独作。先発のシングル "Hole In My Shoe" タイプのラーガロックで、シタールやタンブーラなどのインド楽器を全編にあしらっている。
Coloured Rain
(S.Winwood / J.Capaldi / C.Wood) 2:42
サウンドそのものはサイケ色に満ちているが、曲調はブラックフィーリングたっぷりのR&Bナンバー。スティーヴ・ウィンウッドの鋭いヴォーカルとオルガンに抜群のセンスが感じられる名曲。
Hope I Never Find Me There
(D.Mason) 2:09
再びデイヴ・メイスン単独作、ヴォーカルによるファンタジックなナンバー。一匹狼の彼は常に一人で作曲をしていたが、それはメンバー間の確執を生み出す要因でもあったようだ。
Giving To You
(S.Winwood / J.Capaldi / C.Wood / D.Mason) 4:15
アルバムはジャズ風のインストルメンタル・ナンバーで幕となる。各メンバーの楽器演奏に焦点を当てながら曲はスリリングに展開される。冒頭のセリフ部分はシングル盤やモノラル、ステレオテイクの違いでいくつかのヴァージョンが存在する。
Paper Sun
(S.Winwood / J.Capaldi) 4:19
トラフィックのデビューシングルで、スティーヴ・ウィンウッドとジム・キャパルディによる初の作品。スティーヴのスペンサー・デイヴィス・グループ脱退直後に録音が開始された。スティーヴが関わっているという噂はあったにせよ、メンバー等の詳細は一切明かされずに発表に至り、チャートの5位に達するヒットを記録した。シタールとフルートを加えサイケデリックに色付けされたこの曲は、まさに時代を先導する作風で、スペンサー・デイヴィス・グループ時代の純粋なR&Bスタイルを一気に吹きとばすものだった。
Hole In My Shoe
(D.Mason) 3:06
デイヴ・メイスン作のセカンドシングルで、チャートの2位を獲得するビックヒットを記録。シタールを大々的にフィーチャーしたサイケ風ラーガロックで、デイヴの独壇場といえる内容の濃い曲。途中に入るヴォイスは、当時6歳の少女フランシーヌ・ハイマンによる。デイヴ以外のメンバーはコマーシャルな内容のこの曲をあまり気に入ってなかったようだが、レコード会社側はヒット性の高いシングルのリリースを望んでいたようだ。
Smiling Phases
(S.Winwood / J.Capaldi / C.Wood) 2:42
セカンドシングル "Hole In My Shoe" のB面曲としてリリースされた、デイヴ・メイスン以外の3人のペンによる作品。スティーヴ・ウィンウッドの力強いヴォーカルが聴ける爽快なロックナンバーで、ブラッド・スウェット&ティアーズのカヴァーでも知られている。


