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トラフィック・アルバムガイド (SHOOT OUT AT THE FANTASY FACTORY)

SHOOT OUT AT THE FANTASY FACTORY

Traffic

Side A
01. Shoot Out At The Fantasy Factory
02. Roll Right Stones

Side B
03. Evening Blue
04. Tragic Magic
05. (Sometimes I Feel So) Uninspired

Producer : Steve Winwood, Jim Capaldi

Engineers : Jerry Masters, Steve Melton

Cover Designer : Tony Wright

Musicians : Steve Winwood (vo,g,org,p), Jim Capaldi (perc,vo), Chris Wood (fl,sax), Reebop K.Baah (perc), Roger Howkins (dr), David Hood (b), Barry Beckett (key)

Recording : Dec.1972 (Strawberry Hill Studio, Jamaica)

Release : Feb.1973 (Island ILPS 9224 / UK)

アルバムについて

ブルーを基調とした6角形ジャケットや曲構成など外見上は前作と姉妹作のような1枚だが、サウンドはかなり異なった趣をもっている。最大の特徴は、アメリカのサザンソウルを代表するアラバマ州マッスル・ショールズ・サウンドスタジオのセッションミュージシャンを、リズムセクションに起用している点だろう。すなわちベーシストのデヴィッド・フッドとドラマーのロジャー・ホーキンズが、トラフィックの新しいメンバーとして加わっている。

レコーディングはジャマイカで行われ、プロデュースはスティーヴ・ウィンウッドとジム・キャパルディが担当。全体的に重厚なリズムセクションに支えられた安定したサウンドと、粘りのあるギターを前面に押し出したサザンソウル色の強い作風となっている。また正式なメンバーではないようだが、スペシャルサンクスに名前が記されているマッスル・ショールズのキーボード奏者バリー・ベケットもアルバム制作に一部携わっており、レコーディング後のアメリカ横断ツアーは彼を加えた総勢7名で敢行された。

1曲のインストルメンタルを除く全曲のヴォーカルをスティーヴ・ウィンウッドが担当、加えてマッスル・ショールズのリズムセクションの強力なバックアップが、アルバムのトーンを統一する上で大きな役割を果たしている。そのため前作と同じく長めの曲が多いにも関わらず、各曲は歯切れ良くまとまっている。また前作までは英国風の香りが全体を支配していたが、このアルバムはどちらかというと、パワフルでスワンプなアメリカンロック色が強く、レコーディングの場所やメンバーに寄与する部分が大きいと思われる。そしてこのアルバムも前作と同様に好調なセールスを記録した。

収録曲について

Shoot Out At The Fantasy Factory
(S.Winwood / J.Capaldi) 6:00
冒頭の派手なタイトル曲を聴いただけで、このアルバムが前作までとはかなり異なるコンセプトで制作されたことが分かる。これまでのような長閑な雰囲気はこの曲にはなく、鋭角的なリズムと強靱なパーカッションをバックに、南部アメリカ風のパワルフなロックが展開されている。スティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルも力強く、ギタープレイも重々しくて男性的だ。

Roll Right Stones
(S.Winwood / J.Capaldi) 13:40
ピアノによる旋律がことのほか美しい長編大作ロッカバラード。スティーヴ・ウィンウッドの雄大なヴォーカル、クリス・ウッドのジャジーなサックスとフルートを全編にゆったりと配し、バックにパーカッションやワウペダルギター、オルガンをシャープに加えている。ちなみに「ロールライトストーン」というのは、オックスフォードシャーにある青銅器時代のストーンサークルのことを指しているらしい。時代を反映してA面にはこの2曲しか収録されていない。

Evening Blue
(S.Winwood / J.Capaldi) 5:15
アルバム中で最もコンパクトな作品で、アコースティカルで柔和な雰囲気が魅力。スティーヴ・ウィンウッドのほの暗いヴォーカルと、クリス・ウッドの抒情味溢れるサックスが夜の情景を思わせる。なおこの曲は、ビートクラブシリーズの「ミュージック・ラーデン Part.1」で演奏風景を見ることができる。メンバーから判断してアルバムとほぼ同時期の映像と思われ、長髪のスティーヴと物憂げな演奏シーンはいかにも70年代風。

Tragic Magic
(C.Wood) 6:39
トラフィック唯一のクリス・ウッド単独作のインストルメンタル。ジャズ風のサックスを全編にフィーチャーした、エスニックかつブルージーなナンバー。彼の曲がアルバムに違和感なく解け合うところは、トラフィックサウンドを形作る上でクリスの貢献度の高さを証明しているといえよう。この曲はドラッグによる体験から生まれたと、後年クリスの元妻ジャネット・ヤコブスが述べている。クリスの作品はこの他にも、"Moonchild Vulcan" という曲が存在するらしいが未発表となっている。

(Sometimes I Feel So) Uninspired
(S.Winwood / J.Capaldi) 7:32
終曲はアルバム中の白眉といえる秀逸なナンバー。スティーヴ・ウィンウッドのやや翳りを帯びたヴォーカルは表情豊かで、深いピアノの音色とさりげないオルガンプレイも素晴らしい。さらに後半では粘りの利いたスローなギタープレイを堪能できる。タイトルとは裏腹に、全編にスティーヴのセンスが光るゴスペルスタイルの名曲だ。

SHOOT OUT AT THE FANTASY FACTORY
SHOOT OUT AT THE FANTASY FACTORY